みちのく起業(終了)

概要

みちのく起業は、東北の復興に向けた起業を応援するプログラムです。2012年度で50件の新規創業・新規事業設立を支援しました。(※本事業は、NPO法人ETIC.が内閣府復興支援型地域社会雇用創造事業の社会起業インキュベーション事業の一環で実施いたしました。)

起業家コミュニティを育む4つの支援メニュー

■「メンター*」と起業家たちによる定期的な合同戦略会議の開催
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複雑さを増す被災地の課題を解決するためには、関連する分野や地域に深い見識・経験を持った方とともに被災地のニーズを的確に捉えて地域全体を巻き込んでいく仕掛けが求められています。みちのく起業では、地域・課題分野に精通した「メンター」や同じ活動地域の起業家を巻き込み、スタートアップ時の事業戦略や経営課題についての作戦会議を定期的に行いました。
※メンターとは、起業を予定する地域又は事業分野の有識者で、「みちのく起業」の支援期間中に定期的・継続的に助言・サポートを実施してくれる方のことを指します。

■ 起業家間で事業課題を共有、解決に向け議論する集合研修の実施
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同じ志を持つ起業家たちと共に、被災地で事業を進めていく中で生まれる共通の問題意識や課題を集中的に議論、解決に向けた計画をブラッシュアップする集団研修を計3回実施しました。

■被災地内外のネットワークとのリソースマッチング
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ETIC.が持つネットワークには、経験豊富な先輩経営者や被災地での豊富な活動経験をもつリーダーと出会う機会、さまざまな経営資源(販路、事業に対するアドバイス、事業を推進する右腕としての人材など)を獲得する機会が数多くあります。月一回、担当コーディネーターを集めたミーティングを行い、起業家のニーズに合った経営資源を結びつけました。

■起業支援金250万円の提供
事業を軌道に乗せるための資金ニーズをサポートするために、250万円を上限に起業支援金を提供しました。

起業家50人の属性紹介

起業事例紹介:地域(東北出身)の起業

引地 恵 氏 / 一般社団法人WATALIS

宮城教育大学大学院教育学研究科卒。大日本印刷(株)を経て 亘理町教育委員会(亘理町立郷土資料館)に学芸員として勤務。2012年3月に退職。
震災後は、亘理町職員として体育館内で救援物資の搬入・搬出などに携わる傍ら、任意団体Blessing代表として地域文化伝承講座の開設や宮城大学と連携した学習支援(稲盛財団東日本大震災復興ボランティア助成事業)、日本ヒプノセラピー協会主催のメンタルケアセミナー(独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業)の運営などのボランティア活動を実施。2011年10月に任意団体WATALISを立ち上げ、てしごとプロジェクトの活動を実施。

【事業概要】
 東日本大震災の被災地域において、着物地を再利用したてしごとによる商品を企画・販売し、長時間の就労が困難である高齢の女性や乳幼児を持つ母親などに対する就労支援を行うことで、地域経済活性化の一助とします。また、受け継がれてきた地域の文化や人々の思いを商品という形にし、様々な世代の女性たちがその製作者となることで、地域社会が潜在的に持つ高齢者の知恵や縫製技術などの人的パワーを掘り起こし次世代に受け継ぎながら、既存の枠組みを越えたあらたな地域コミュニティを創り持続発展させることを目指します。そして、被災地域に開かれた「場」を設け、人や地域との結びつきや仕事への自信と誇り、生きがいを感じながら働けるという女性の新たな就労モデルを創出します。

和田 祐樹 氏 / NPO法人ホールアース自然学校 福島校

大学卒業後、09年度より現在のホールアース自然学校に入社。
年間300本に渡る大人・子どもへのエコツアーガイドや、自然体験活動、野外活動に従事。さらには、リゾートホテルにおける親子向けプログラムの企画・運営や、エコツーリズムの推進業務に携わる。また、岡山県青少年教育センター閑谷学校に出向し、自然体験活動プログラムの企画・立案・運営、今後センターを運営するスタッフに向けたマニュアル作成や、現地学生のリーダー養成に1年間従事。 東日本大震災後は、生まれ故郷である、福島の支援活動を個人・組織で定期的に行っている。

【事業概要】
 未来の担い手であるふくしまの子どもたちの「生き抜く力」の向上、およびそれに貢献する若者の育成のための、自然体験プログラムの企画・実施はもちろん、次世代の人材育成や行政・企業との連携事業を行います。その他、県内の自然体験型環境教育に関わる団体で構成する「子どもが自然と遊ぶ楽校ネット」の運営を通じて、自団体に留まらぬ多様な体験型プログラムを県内・県外で実施する。子どもたちの自発的な遊びを引出し、自他や自然を感じることで新たな気づきを促し、心身の健全な成長につなげていきます。

橋本大吾氏 / 一般社団法人りぷらす

東日本大震災後に有志とface to face東日本大震災リハネットワークというリハビリテーション専門職の支援団体を立ち上げ、それをきっかけに石巻に移住。石巻市民が健康的に生活を続けられる社会を創造するための組織として一般社団法人りぷらすを設立。

【事業概要】
 りぷらすでは、地域の方が健康的に生活を続けて行けるために、①介護保険からの卒業を目指すデイサービスと②必要とする方誰もが利用できる自費でのサービスを展開していきます。この地域は、理学療法士、作業療法士などのリハビリ専門職がおらず、必要とする方に行き届いていない現状です。私たちが関わることで、介護が必要になった方を再び社会復帰できるようにサポートします。また、介護保険をまだ持っていない方や卒業した方、健康のため、障がいの増悪の予防のためなど、多岐にわたる需要があり、その方の健康づくりのために自費でのサービスを展開してまいります。そして、地域で生活している人の顔の見える交流を増やし、地域で支えていけるためのネットワークを形成していきます。

松永 武士 氏 / ガッチ株式会社

慶應義塾大学総合政策学部在学中。2010年に会社をガッチ株式会社を創業し日本にて教育事業を立ち上げ運営。昨年は大学を休学し、中国にて日本人向けの内科クリニック、カンボジアにてエステをそれぞれ設立、運営。帰国後、地元福島の伝統工芸品、大堀相馬焼の復興のために何か力になりたいと考え、「大堀相馬焼復興事業」を起業。

【事業概要】
 私の実家が営んでいた国指定の伝統的工芸品「大堀相馬焼」は震災の影響で生産・販売できなくなってしまいました。それを復興すると同時に、これまでの古いブランドだけにこだわることなく、新たなブランドを構築し、日本だけでなく、海外にも展開します。
これまで「大堀相馬焼」だけでなく、伝統的工芸品産業は日本において衰退の一途を辿っています。様々な理由がありますが、それを再興させるためには、従事者の若返り、ITを有効活用して「カッコ良い」産業にする必要があります。さらに日本だけでなく、世界に目を向けることでメイドインジャパンの素晴らしさを世界伝えると共に日本人が日本の良さを知ってもらえることを目指します。

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