STYLE2003で優秀賞を受賞し、その後もさまざまなメディアに取り上げられるなど、社会の注目も集めている佐藤大典さん。
ペンキ塗りを通して、日本の職人の誇りを、そしてモノを大事にする心を取り戻すために、チャレンジを続けています。
今さまざまな人の共感を生み、輝いている佐藤さんですが、かつてはホームレス同然の生活・借金と、今では想像もできないような困難を経験しています。そんな彼の一つの転機となったSTYLE2003についてご自身に語っていただきました。

佐藤さん自身によるプロフィール:1973年、島根のペンキ屋の双子の次男として生まれる。高校中退後、父の家業を手伝うが「好きでもない事をしたくない」と考え始める。20歳の頃「健康食品の紹介販売」に出会い、「人生が変わる」と信じ込むが見事失敗。400万の借金を抱え、さらに親から勘当される。広島で半年間ホ−ムレスをしていたが、挫折し家族に助けてもらう。再起を誓い、昼はペンキ屋、夜はラ−メン屋台でバイトし、4年間で借金を完済するも、今度は父親の家業の経営不振で、「社会の本当の恐ろしさ」を知る。建築業界の矛盾に嫌気がさし、2002年4月ペンキ屋を退職、フリ−タ−になる。同年10月「しまね起業家スク−ル」に参加。2003年生まれてはじめてプレゼンテ−ションを行う。2003年4月しまねビジネスプラン大賞「奨励賞」、5月NPO法人ETIC主催「STYLE2003」優秀賞受賞、2004年2月学生発!しまねビジネスプランコンテスト山野修平・佐藤大典ペア「ペイント自転車防犯システム」最優秀賞受賞。現在身近なペンキ屋「POINTerior」代表
ポインテリアホームページ http://www.pointerior.biz/

STYLEを知ったきっかけは?
島根の起業家スクール受講生の仲間(大学生)に「佐藤さん、だしてみたら?」といわれて軽い気持ちで出しました。当時、生まれて初めてプレゼンをやり始めたばかりだったので「何でもいいや、とりあえず手を挙げてやろう」ぐらいにしか思っていませんでした。当然通るとも思ってなかったです。

いま、振り返ってみてSTYLEは、どういう場でしたか?
STYLEとは自分にとって「可能性を信じさせてくれる場所」でした。
いままで30年間ほとんど島根から出た事がなかったような僕から見れば、「東京=最先端」「島根=どうしようもない田舎」という認識しかなかったし、自分自身についても「人生の敗北者」だとばっかり思っていました。
そんな僕にたくさんの可能性を信じるきっかけをくれたのが、STYLEという場所でした。同時に、「ただ機会を逃していたのだ」と思うと、少しやるせない気持ちにもなりました。
二次審査直前、渋谷マークシティの17階から東京の景色を見たとき、「気がつけばこんなところにいる」そんな自分に感慨深い想いにもなりました。同時にこれまでの自分の人生を振り返って「ところで僕は今まで何処にいたんだろう?」「30年間どこで一生懸命暮らしてきたのだろう?」というような気持ちになりました。その思いをぶつけ、受け止めてくれたのがSTYLEのファイナルという神聖な舞台だったと思います(今はそんな考えもつまらない意地だった気はしていますが・・)。いずれにしても、「島根の田舎モノ」を真剣に受け止めてくれたのが、STYLEという場所でした。

STYLEをきっかけに、何か変化したことはありますか?
考え方全てが変りました。
今になって思えばSTYLEに出る前は「自分の可能性を自分が一番否定していた」と思います。
何か世の中で起こっているとても大切な事や、お金を稼ぐ事、生活に身近な法律などなど、あらゆる事がとても遠いところにあり、いつも自分は蚊帳の外に置かれて、決まった結果しか教えてもらえないと考えるような「受身の人生」を生きてきました。
考えは捻くれ、拗ねて生活してきていたんだと思います。
しかし、STYLE以後「大切なことは身近にあり、それを変えるのも変えないのも自分次第」だということが本当にわかりました。だから当然今は楽しんで暮らしています。
なぜなら好きなことを思いっきりやっていられるし、好きなこと思いっきりしゃべりまくっていますから。

STYLE以降の動きや、今後の展望などを教えて下さい。
STYLE以後マスコミにとりあげられたせいもありますが、全国の色々な方々に励まし をいただいたり、お会いする機会をいただきました。本当にありがたい事です。

2003年11月には大阪で豊中インキュベ−ションセンタ−MOMO主催の、「ペイント体験教室」に講師として呼んでいただいたり、岩手県でもプレゼンを させていただいたりしました。また、東京では大手企業さんでもプレゼンをさせていただく機会をいただきました。また大阪では窃盗・放置などの問題で莫大な予算を使っている自治体や盗まれた自転車が見つからないという人たちのためのプラン、「ペインティング自転車防犯登録システム」を大学生が考えだし、地元の防犯に効果を発揮して地元の方々に大変歓迎されたと聞きました。僕自身が考えもしなかった価値を作ってくれたこと。そのお手伝いができたことは、本当に嬉しく思いました。

その中での今まで会えなかった人たちとの出会いは、僕にとっての「日本」をさらに広くしてくれています。地方の一地域では、価値を感じる人が少なくても全国を見渡せば「価値を感じてくれる人」がいるんだと考え始めています。

今後は先ず島根を中心に活動していきますが、機会さえあればいつでも「全国どこへでも」行きます。そしてまた日本を「好きになれる場所」にできるようペイントを通じて多くの皆様に感動を提供してまいります。

10月には法人化も目指しています。

STYLE2004参加者の方にメッセージをお願いします。
ほんの一年前まで世間を逆恨みして、捻くれたフリ−タ−だった僕を変えてくれたのがSTYLEという場所でした。これは紛れもなく事実ですし、事実以外のなにものでもありません。
しかし、かといってこの場所にただ参加すれば何かが変わったり、すごい人脈ができたりするものではありません。
どんな機会が巡ってこようとも、それを「どう生かすか?」は自分次第に他なりません。
かといって真面目ばかりがいいかというわけでもないですが。
キ−ワ−ドは「あなたのSTYLEを楽しんでください!」これに尽きます。
こんな大舞台どうせ一生に一回くらいですから、思いっきり楽しんでください。