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今の事業を始めようと思い立ったきっかけは何ですか?
本当に単純で、大学に入ったばかりの時、これからしっかり勉強しようという決心と共に学生生協へ教科書を買いに行ったところ、その本が高くて買う気になれなかったのが始まりですね。自分なりに苦労して古本屋をのぞいたり、ネットから探してみようとはしたけど、教科書のような本は揃っていなかったんです。それなら僕がそんな現状を変えようと決意しました。こういう事って社会のせいにして済ませちゃうのは簡単じゃないですか。けど、身近な問題点だから「自分でも変えていけるかなぁ」という漠然とした思いが浮かび上がってきたんです。幸か不幸かそれが苦しみの始まりだったんですね。(笑)
そこですぐに自分でビジネスをやってみようという発想が出てくる人は少ないですよね?
実は僕は高校3年のとき父親を亡くしていまして、その出来事でこれまでの価値観が大きく変わりました。父は大手企業に35年くらい働いていて、あと2、3年もすれば取締役就任で人生花開くという矢先のことでしたからね。そういう衝撃的な体験をしたことで、「それじゃあ最初から取締役になったほうが早いじゃないか」という考え方に変わってしまって起業の意識が芽生えました。その意識と教科書に対する疑問符が一つになって走り出しちゃったというところです。
どのような経緯でSTYLE2002に応募されたのですか?
大学1年生の冬頃、ETIC.を通して新古書店「ブックオフ」でインターンしていたんですよ。そんな時期にETIC.にたまたま居合わせていたら、スタッフの方から、あるブラッシュアップコンペを開催するという話を聞きました。締め切り時間が迫っているということもあって、勧められるままに軽い気持ちで応募の書類を書いてみたんです。まだ実際には事業など始めていなかったし、10分くらいで簡単に書いたようなものだっただけに、選考を通過してしまったのには驚きでした。とにかくそんなに意気込んで始めたものではなかったですね。
それから実際に事業を始めていくわけですよね?
春あたりからSTYLEのブラッシュアップも忙しくなっていって※、プランを練るためにメンターの方と会う機会も増えていきました。ただ、机上で考えてばかりいてもしょうがないから動いてみようという話になって、実際に商売をするためのプランを立てることになりました。それがワゴン車で大量に教科書を持ち込んで、露店のように学校の前で売りさばくというゲリラ的なやり方になったんですね。最初は学習院大学で即売を実施したんですが、まったく客が来ず失敗に終わってしまいました。数日後、今度は早稲田大学にターゲットを切り替えました。そのときはETIC.でやっていた広報の講座にも出て、ビラを工夫したり下準備を入念に行いました。結果は大盛況。一日で10万円の売り上げでした。でもその後、警備員や警察が駆けつけて来るし、大学当局に事情聴取をされたりと、えらい騒ぎになってしまいました。
※STYLE2003では、4/1募集締め切り。5/31最終プレゼンでした。
そんな騒ぎ起こしても、やってやるぞと思い続けられたのはなぜですか?
そのときの強い気持ちは自分でもいまだにうまく表現できないですね。ビジネスモデルだって売れるのか売れないのかはっきりしないものだったし、授業サボったり騒ぎ起こしてまでやる価値があるものかよくわからないままでした。だけど、STYLEで見ていてくれたことが大きいのは確かです。メンターやギャラリーの前で「こういうことやります」って高らかに宣言しちゃったからには、やるしかなかったわけですから。
あとは、その場その場で目の前にある問題に対して、常に全力を尽くすポリシーを持っていました。だからSTYLEでも、今後の売り上げのようなものを計算せずに、自分と同じような学生を満足させたいという一心で、中古の教科書販売を頑張るだけでした。そうやって常に目の前のことに対して、がむしゃらにがんばっていたら、結果が自然とついてきて売り上げを伸ばすことができました。今はネット上でしか売買してないけど、当時はすごいことしていましたね。
STYLEの印象、参加して自分の中で変化したことがあれば教えてください。
ブラッシュアップの時にメンターの一人に言われました。
「尾野、お前はアホだけど、でもやってくれる気がするよ」って。その一言を鮮明に覚えてますね。やることを前提にしゃべってたから、それが伝わったからこそ選考を通してくれたんだなと今になって思います。変化したことと言えば、そういうやろうとしたアイデアを人に認めてもらえた時の自信が一番大きいですね。そこから考え方がさらに大胆になったし、その後の一歩を踏み出すのが全然怖くなくなりました。
自分の本当に変えたいことを頑として押し通してやろうとするかが、STYLEにおいて重要なことじゃないですかね。STYLE以前のイベントで初めてプレゼンテーションしたときは、思い出すのもいやなくらいダメで、周りから厳しい意見ばかりもらいました。けど、そこであきらめないで、少しずつ目の前のやっていきたいことを実現していくと、いつの間にかプレゼンテーションも説得力を持つ内容に洗練できるものですね。最終的にファイナルのプレゼンテーションは、聞いた人に後々まで印象付ける内容にできたので満足しています。
今後はどのようなことを考えているのですか?
大学卒業後は、就職しないで好きなようにやっていたいですね。会社は将来的に年収1000万になるまで押し上げたいと思います。そうすれば親も就職しろなんて言わなくなるだろうし。
あと、本を通じた社会貢献を考えています。どういうことかと言うと、今年起業する仲間2人に出資する予定なんです。2人がどんな事業やるかはまだ決まってないのですが、「人に出資」するような形ですね。僕は結構世間の風当たりが強くて、いやな思いもしてきましたから、自分と同じような「アホ」が現れたら、手厚くもてなしてやりたいなぁって考えていました。条件はうちの会社で1年以上働くことです。1年もやっていれば、その人の人間性が見えてきちゃいますよね。いずれはそういうことを通じて学生起業家コミュニティみたいなものを作れたらいいなということを昔から考えてました。
これからSTYLEに応募する人に向けてメッセージなどお願いします。
STYLEはあえて例えるなら「踏み台」という感じですね。ファイナルに進出するとか、賞を取るとかいうことで終わるものじゃなくて、STYLEという場をステップにしてさらに伸びていくものがSTYLEかな。僕が厳しい条件に追い込まれても、商売を続けていけるような気持ちを持てたのは、やっぱりたくさんの人の前で自分の理想を発表してしまったところにあると思います。そこで認めてもらえた自信や責任感は今もなんらかの形で自分を突き動かしてくれているでしょう。
志やアイデアを持っていたら、実際に始めてみようとしなくちゃダメですよね。STYLEでは結果を得る以前に、全般の過程で、やらなきゃならない環境に自分を追い込める機会を得るわけです。だから僕はファイナリストになったことはどうでもいいことだと考えると同時に、自分が成長できる場所に身を投じた事実を大切にするべきだと思ってます。
何にしても心構えなんて必要ないから、飾りたてることなく素の自分をぶつけてみればいいと思います!
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