児童養護施設退所者への自立支援と進学支援のモデルを創る
NPO法人ブリッジフォースマイル(東京)
http://www.b4s.jp/
プロジェクト・団体がフォーカスする社会的課題と解決の方向性
児童養護施設とは、様々な家庭の事情により、家族と暮らせない子どもたちが生活する施設で、全国に約560施設あり、0歳から18歳の子どもたち約30,000人の子どもたちが生活しています。

児童養護施設の現状
昨今、社会問題化する「児童虐待」。児童虐待により、1週間に1人の子どもが命を失うというデータもあり、事態は深刻です。その影響は児童養護施設にも、「虐待を受けた子どもたちの入所の急増」といかたちで確実に訪れており、今現在、施設で生活する子どもたちのうち、およそ6割が虐待を受けているといわれています。そのような社会環境の変化に伴い、施設の新設や施設での生活面だけではない、「心理面でのケア」の充実が求められていますが、現実は量、質、共に追いついていないのが現状です。
退所後の支援が不足
施設は通常、18歳になったら退所しなければなりません。しかし、退所者の多くは、親元に戻ることが出来なかったり、頼る人もいない場合が多く、退所後、すぐに自らの力だけで住まいや生活必需品を整え、生計をたてていかねばなりません。そのような子どもたちにとって、大学や専門学校への進学、就職の道は非常に険しく、大学進学率は9%(全国平均45%)、専門学校を入れても17%です。
また、家庭の事情や生まれ育った環境から、基礎的な生活能力や、周りの人とうまくコミュニケートする力、仕事に対する意欲などが低い場合が多く、退所後の継続的な支援も求められています。施設側も、退所者への「自立支援」に関しての重要性を認識しつつも、入所者の増加や入所者の抱える問題の複雑化により、入所中の子どもたちの世話に手一杯で退所後支援まで手が回っていないのが実情です。
施設退所後、学歴の低い18歳の青年が、経済的に自立していくことは本当に大変な上、精神的にも頼れる家族がなかったり、生い立ちから人間関係が苦手であったりして孤立していくことも少なくありません。自立できない若者たちは、生活保護を受けたり、ホームレスになったり、犯罪の被害者または加害者になったり、精神病を患ったり、自殺を試みたり、家庭を持っても、我が子を児童養護施設に預けることになったりするなど、負の連鎖から抜けられなくなってしまいます。
ブリッジフォースマイルの挑戦
ブリッジフォースマイルでは、子どもたちがどんな環境で生まれ育っても、素晴らしい人生を生きる可能性をあきらめず、夢と希望を持って笑顔で暮らす社会を実現することをミッションに、例えば以下の活動を通じて、児童養護施設から社会へ巣立つ子どもたちへの支援事業を展開してきました。
◆中学生・高校生向けに、仕事への関心や意欲を高めることを目的とした職業体験プログラム、通称「ジョブプラクティス」
◆退所を控えた高校3年生を対象に半年間、一人暮らしに向けた知識やスキルを学ぶセミナー、ボランティアが1対1で話を聞く個別サポート、交流会、セミナー参加率に応じた生活必需品のプレゼントなど行う「巣立ちプロジェクト」
◆退所者向けに退所者が継続的に学び成長できる場所、困ったときに頼れる場所を目指し、月1回のセミナーや交流会、生活に役立つ情報を発信や、ボランティアの個別サポートを行うアトモプロジェクト


具体的なプロジェクト内容と期待する役割
※下記2つのミッションは別々の方に取り組んで頂くイメージです。
その1:施設退所者の自立支援のモデルを仕組み化し、軌道にのせる!
ブリッジフォースマイルでは、児童養護施設で生活する高校3年生を対象に、一人暮らしの準備をする「巣立ちプロジェクト」を実施しています。このプロジェクトは、引越しの手続きや、金銭管理、危険から身を守る術など、一人暮らしで必要となる知識やスキルをセミナー形式で学習したり、マンツーマンの個別支援「コッコサポート」などを通じて、自立に向けた意欲の向上や、信頼できる仲間を育むことを目的としています。
このプロジェクトの中で、一人暮らしで必要となる生活必需品を提供する「ポイントプレゼント」という制度は、高校生がセミナー参加のモチベーションにすることと、バイトの時間を削ってくる経済デメリットをなくすことを目的とし、全6回参加で、ひとり3万円相当のプレゼント(例えば、スーツセット、調味料セット、バス用品セット、中古の家電や家具など)を提供しています。
施設で生活する高校生は、勉強や部活動に当てるべき時間を削って、将来のためにアルバイトをしています。一生懸命に貯めたお金も、自活を始めるとアパートの敷金・礼金や生活必需品など日常に必要な経費であっという間になくなってしまうため、この寄付により一人暮らしに必要な初期費用を軽減することが出来るのです。
この巣立ちプロジェクトは、当事者からも施設側からも、非常に喜ばれ求められている支援である一方、生活必需品集めがうまくいっていなかったり、企業からの物品協賛に関しても、個人からの物品寄付にしても、積極的な営業・プロモーション活動ができていません。それにより、現段階では、より多くの子ども達に支援を届けるということが出来ていないのが現状です。
また、ニーズがある子供たちと、中古品のマッチング作業や運搬・配送方法などのスムーズで効率化されたオペレーション体制も確立されておらず、多くのボランティアの方々の「属人的な」好意によって何とかまわっている状態です。
プログラム参加者の方には、この支援の仕組みが持続可能な形で、そしてより多くの自立を望む子どもたちに支援の輪が広げられるよう、このプロジェクトの仕組み化・全国展開に取り組んで頂きます。
その2:日本初!施設退所者の進学を支援する「奨学金スピーチコンテスト」立ち上げ
施設入所者の大学進学率は9%(全国平均45%)、専門学校を入れても17%と、平均より、著しく低いのが現状です。入所者の多くは、高校卒業と同時に施設を退所しなければならず、お金の問題から上位校への進学を諦める子どもも少なくありません。
児童養護施設の子ども達のみを対象にした奨学金制度もあるものの、募集数は少なく、金額は多くて、月2万円程度で、アルバイトで貯めた貯金や、入学金補助・免除、学生支援機構の提供する奨学金などの制度をフル活用して1年目はなんとかやり繰りが出来ても、2年目以降継続することが出来ず、中退する子どもも非常に多いと指摘されています。また、アルバイトと学業の両立でハードな生活が続くことで、課外活動や交流を楽しむ一般の学生と自分の境遇にギャップを感じたりして、子ども自身の心が折れてしまうこともあります。
そこで、ブリッジフォースマイルでは、大学や専門学校等の上位校へ進学する人を対象にした「奨学金スピーチコンテスト」を企画しています。返済不要の奨学金を欲しいと考える高校3年生または、退所した子どもたちが、自分の生い立ちやこれからの夢をスピーチし、集まった人たちは投票権を自らの予算に応じて購入し、投票を通して、直接子どもたちに奨学金を寄付するというプロジェクトです。
コンテストに参加する子どもたちに対しては、スピーチの内容を考えたり、プレゼンテーションに必要なスキルを指導する過程で、本人自身の成長や自立に向けた意欲の向上を促します。
このコンテストは来年6月を目途に開催を予定しており、現段階ではアイデア段階です。プログラム参加者の方には、国内外の奨学金の仕組みや児童養護施設、子ども達へのニーズリサーチ、コンテストの全体像の設計、参加者を集めるための児童養護施設へのプロモーション、奨学金を出す協力者や企業を集めるための企画営業、コンテストの運営、それらを支えるボランティアの組織化など企画から実行まですべてを行って頂きます。
勤務条件
| 勤務頻度 | 原則、週5日 |
| 勤務時間 | 10:00〜21:00の間で8時間程度 |
| 勤務地 | 東京都千代田区大手町 |
| 活動支援金 | なし(但し助成金の申請もミッションとして行って頂きますのでその採択次第では自分の人件費を計上することも可能です) |
| 活動手当 | 自宅からの交通費は別途支給 |
経営者メッセージ
NPO法人ブリッジフォースマイル 理事長 林恵子
「施設へやってくる子どもたちへわれわれがしなければいけないことは『手当て』と『謝罪』」。ある児童養護施設の職員がおっしゃっていたことです。
どの子も施設に来るまでに大人の事情でいろんな辛い経験をして心に傷を負っている被害者である。そして、子どもをそんな環境においてしまった、この社会を作っているのは、私自身であると。私は、この考え方にとても感動しました。子どもたちの見えない心の傷を思いやること、私たちひとり一人がこの問題に対する当事者意識を持つことがいかに大切かを教わりました。

けれども、それを実践することは本当に難しいです。「心の傷」という見えないものに対して、形の見えない「手当て」をしていても、その効果はなかなか見えないですし、この社会を作っているのは確かに私なのだけど、私ひとりが変わったからといって簡単に社会が変わるわけでもない。不安になります。日々、自分自身が試されていると感じます。見えないものを信じること、信じて行動し続けることは、本当にたいへんなのです。
でも、人を支援することの喜びは、何物にも代えがたい「欲求」なのかなとも思います。
自分の行為で誰かが笑顔になる、自分の存在が誰かの心の支えになる。この喜びは、クセになります。また、私たちが取り組んでいる問題がたいへんだからこそ、苦労も喜びも分かち合う仲間の存在が、かけがえのないものになります。私がこれまで5年間続けていられるのも、誰かを笑顔にする喜びと、信頼できる仲間がいるからこそだと思います。
今回のプロジェクトは、どちらも、ブリッジフォースマイルの設立当初からの問題意識である2つのギャップの解消を目指しています。「施設間のギャップ」と「社会と施設間とのギャップ」です。
同じ「児童養護施設」と言っても、子どもに対して行っている支援には、大きな差があります。生まれる家庭も、入所する施設も選べない子ども達を、公的な枠組みで救おうとしているのに、入所する施設によって、将来の可能性が大きく左右されている現状は理不尽です。
どの施設に入っても、ひとり一人の可能性を拓くためには、新しい仕組みが必要です。これまで児童養護にかかわりを持たなかった人たちが、お金や物の寄付を通して容易に活動に参加でき、支援を必要としている人にスムースに仲介する仕組みを作ることができれば、子どもたちの将来の可能性を拓き、日本社会全体がもっと明るい笑顔で満たされるはずです。そのことを信じて、苦労と喜びを分かち合ってくれる仲間をお待ちしてます!